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 首都圏のごく一部のGSで、エタノール(エチルアルコール)添加ガソリンの試験販売が始まった。排気ガス中の窒素化合物等が少しでも減るようにと、アメリカではガソリンにエタノールを30%も配合した、バイオガソリンも普通に使われているようだ。
 エタノールは炭素と水素および酸素の化合物なので、燃焼後は水と二酸化炭素になって排気される。主な原料はサトウキビの糖分だ。サトウキビが根から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素を光合成した糖分を、アルコールに変えるだけなので、この循環系に従えば地球上の二酸化炭素の総量が変わらない。クリーンで環境にやさしい燃料とされる理由だ。
 しかし、サトウキビを絞り発酵させ蒸留する工程でエネルギーコストがかさむので、今のところバイオガソリンの価格は普通のガソリンよりも高い。またバイオガソリンの将来性を見越しての作付け転換が各国で進むと予測され、米麦、トウモロコシ、大豆など主要穀物の世界的な先物価格高騰の兆しもすでにある。とくにブラジルにおけるサトウキビ耕地拡大のための大規模な森林伐採は、地球規模の生態系破壊を招くと指摘される。
 そこで注目されるのがシロアリだ。シロアリは木材のセルロースを食べるが、実は自身はセルロースを消化できない。そこでセルロースを糖分にまで分解する能力を持つ原生動物を後腸内に飼い、原生動物が排泄する糖分と原生動物自体をも栄養源にする。酵素分野で有名なダイバーサ社は、この原生動物が産生するセルロース分解酵素を研究中だ。シロアリがエタノール産生のバイオマスになるかもしれない。サトウキビの絞り相のほか、すべてのセルグロースを使えるなら、それこそ環境に優しいエタノールも夢ではなくなる。(龍)

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