はじめに

 建築物にはどこからともなく様々な昆虫が侵入します。その建築物の構造や立地条件と対象となる昆虫の生態や習性を照らし合わせて、侵入の原因や侵入経路を見つけ出します。薬剤だけに頼らない防除方法では、こうした過程を経て防除計画を立てているのではないでしょうか。
 今回号から元株式会社竹中工務店の稲岡徹先生による「建設業者の防虫対策」の連載が始まります。先生は、北海道大学理学部生物学科を卒業後、同大学院で昆虫分類・生態学を修了された理学博士です。
 先生は1975年に国立旭川医科大学で寄生虫学講座の助手を勤められたのち、1993年に株式会社竹中工務店に入社されました。入社後は技術研究所で建築と昆虫学の接点という観点から研究に従事され、特に食品・医薬品等の異物混入防止のための建築的防虫技術の研究・開発を長期にわたり担当されました。その防虫エンジニアリング(防虫技術の研究と応用)の活動が評価され、2007年にエンジニアリング振興協会から功労賞を受賞されるなど、輝かしい功績があります。
 先生のこれまでの研究の一部を、本誌を通じてお伝えします。読者の皆様にとって防除計画のヒントになることが数多くあることでしょう。ぜひご期待ください。

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