はじめに

ラウンドアップ(農薬登録一般名:グリホサート)は、モンサント社が開発し、30年以上にわたって世界の農薬市場を席巻する非選択性除草剤だ。
 同社の戦略は、①グリホサートを浴びても枯れない作物の品種(ラウンドアップレディー)を遺伝子操作(GM)で作り、②こうした作物の畑にラウンドアップを散布すれば、雑草だけが枯れるので肥料効率がよく収穫もしやすく、③農家はGM種子とラウンドアップの双方を買い続けざるを得ない、という仕組みだ。主嬰農産物のほとんどにラウンドアップレディー品種が用意され、中でも米国産ダイズの実に97%がGM品種と報告(農林水産省委託事業平成19年度食糧安定供給基木調査、第1回食糧腿給動向総合検討会)される。平成13年頃からは、わが国にも同社のGMダイズやトウモロコシなどの登録申請があり、薬事食品衛生審議会の数次の審議を経て次々と品種登録されている。
 このラウンドアップに最近2つの疑問が提起された。ひとつは安全性にかかるもので「グリホサート原体はグループE(ヒトに発がん性なし)だが、製剤に含まれる展着性を高めるための界面活性剤P0EAに、胎盤や胚への細胞毒性が疑われる」と、フランスのSeraliniらの研究が近く公表され5 (Scientific American, June 23,09) という。もう一方は、GM作物の農地で9種のグリホサート抵抗性雑草が報告された(5/22、09朝日)というものだ。
前者の課題は処方改良などで解決できるだろう。しかし、実用化後約]0年で起きてしまった後者の課題は、除草剤で枯れない雑草が、&ある大問題と言えよう。特定の薬剤を使い穀物に混入して世界中に広がる可能性の続けることの危険|住を今一度考えてみたい。(龍)

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