はじめに

 新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議は、9月18日付で「新型インフルエンザワクチン接種の進め方について」(第1次案)をネッ卜上に公開した。
 ワクチンには現在のH5N1ウイルスから製造し、実用化段階に入ったプレパンデミックワクチンと、実際に発生したウイルス株から製造するパンデミックワクチンがある。プレの方はすでに2000万人分の手当てができたというが、パンについては発生を見ての製造なので、国民全員分をまかなうには約1年半が必要とされる。そこで今回の第1次案では、感染の拡大防止や社会経済機能の破綻防止に資する100業種・職種を、両ワクチンの摂取優先順位によりカテゴリーI~Ⅲに分類した。
 さてPC0業界には、先の農水省と厚労省による「高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」および「新型インフルエンザ対策行動計画」を受けて、鶏舎の罹患鶏処理などに出動し、地方自治体等に協力してきたという自負がある。ところが今回示された100業種にPC0や害虫防除業などに関連の業種は見当たらない。それどころか発表前日には、感染出動する際に着用する保護具などに科学的根拠がなく、たとえば防護衣には着脱時にウイルスに触れ感染する可能性が、また靴カバーには鶏糞に滑って転倒するおそれがあるなど、専門家のコメント付きの報道(朝日新聞、9月17日)まであった。
 今回の事例は、技術立脚の業種として、高度な防除技術の確立と普及という枠組みの中で、行政との間によりよい協力体制の構築が課題であることを示唆するものと思いたい。単なる業界活動の広報不足と片付けてしまうには惜しい機会である。 (龍)

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