世界No.1 PCO Rollins(Orkin)研修センター視察

鵬図商事株式会社
芝生圭吾

1.はじめに

 「世界で一番大きなPCOはどんな会社なんだろう?世界一の会社が大事にしている事を知る事で、日本のPCO産業に光明をもたらすヒントを得る事は出来ないだろうか?」思いつきに近い単純な好奇心から、企画をまとめ、ツアー参加者を募り、アトランタにある全米売上6年連続No.1企業「Rollins」(代表的ブランド名:Orkin)研修センターを視察させて頂く貴重な機会を得る事が出来ましたので、皆様にご紹介させて頂きます。

2.アメリカのペストコントロール市場について

 まずはアメリカと日本のペストコントロール市場について簡単に触れさせて頂きます。

■全売上と会社数 日米比較

  アメリカ 日本
全売上高
(2016年)
約9,319億円5,000万円
(81億7,500万ドル ※為替レート114.0円で計算)※1
約1,258億6,000万円 ※2
会社数 19,200社 ※1 約5,000社(※当社推計)

(※1引用:Specialty Consultants, LLC http://www.spcresearch.com/ アメリカ建築物害虫防除業界の戦略的分析)
(※2 引用:矢野経済研究所,害虫駆除・シロアリ防除・燻蒸サービス市場に関する調査を実施,2016 年)

■事業別売上と割合 日米比較

  アメリカ 日本
ペストコントロール売上 約5,684億8,950万円(61%) 793億9,000万円(63.1%)
シロアリ防除売上 約2,143億4,850万円(23%) 464億7,000万円(36.9%)
その他サービス売上 約1,491億1,200万円(16%) 比較対象無し

■顧客割合と売上金額 ※日本のデータ無し

顧客割合 一般住宅:62% 法人:38%
一般住宅 約5,778億900万円 (上記全売上高より計算)
法人 約3,541億4,100万円 (上記全売上高より計算)

(引用:Pest Control Technology , PCT TOP100より引用し作表, http://www.pctonline.com/page/top-100-companies/)

■アメリカと日本の市場規模比較

 日本のペストコントロール市場(2015年度)は1,258億6,000万円である事から、アメリカの市場規模は日本の約7.8倍であると言えます。一般住宅、法人の割合に関して日本での統計データは無いのですが、当社顧客の場合、日本のペストコントロールは法人が90%以上であり、一般住宅という市場は、ほぼ未開拓と言えます。

3.ROLLINS(ORKIN)社について

3.1 企業理念

世界中で最高のサービスを提供する

3.2 ROLLINS社の売上・事業割合

2016年売上 約1,793億7,558万円 (約15億7,347万ドル ※為替レート114.0円で計算)
事業割合 ペストコントロール:82% シロアリ防除:17% その他:1%
顧客割合 一般住宅:60% 法人:40%
従業員数 12,000人
国内拠点数(海外拠点数) 700(50ヶ国80FC加盟店)

3.3 ROLLINS社の歴史

 同社は1901年にOtto Orkin氏が設立した「The Rat Man」社から始まり、1941年第二次世界大戦中の軍事施設のペストコントロールを請け負い、1964年にROLLINS社が6200万ドルでOrkin社を買収、1968年ニューヨーク証券取引所上場、1995年フランチャイズ制度導入、2000年海外フランチャイズのスタート、以後サービスの強化をしつつ、他社の買収を繰り返し、同社を大きくしてきた。また、単なる買収では無く、買収先の企業ブランドや価値観、長所を残しながら、より良いサービスを提供し、収益を増やす為のノウハウを与えるなど、企業価値を向上させる事も行っており、現在15の企業ブランドを持っています。

4.ROLLINS社研修センター視察

 前置きが長くなってしまいましたが、本題の研修センターをご紹介させて頂きます。ジョージア州アトランタ市の市街地から車で約1時間離れた場所にROLLINSグループが実践的な研修を行える場所として2001年に約14億円(1,000万ドル)かけて建設されました。約22,000平米の敷地があり、主に4つのエリアから構成されています。

4.1 何の為に研修センターを作ったのか?

 ROLLINSは企業理念として「世界中で最高のサービスを提供する」を掲げています。その為には世界中にある加盟店の技術レベルを底上げし、安定した品質を提供する必要があります。そこで、全拠点・加盟店は同研修センターで営業方法、施工方法について3週間に及ぶ研修を受け、その後も、通信教育を受け続ける必要があります。ROLLINSにとって学び続ける事は必須であり、社長や技術責任者など役職を問わず、全員が継続して学び続けています。

4.2 訓練と教育はどう違う?

 Orkin社 最高技術責任者であるRon Harrison氏に研修センターを案内して頂きました。最初に教わった事は「Training(訓練)とEducation(教育)」の違いについてでした。Training(訓練)はDoing(行動)が伴い、Education(教育)はKnowing(知る事)という事です。同研修センターでは、座学よりも、Training(訓練)を中心に研修する事で、実践で役に立つ技術を教えてくれます。

4.3 施設1. 屋内研修センター

 屋内研修センターには、様々な施設が用意されており、各施設で「何の虫が発生する可能性があるのか?どこから発生するのか?何故か?どう対処すれば良いか?」を講師と話しながら考えて学べるようになっています。


4.4 施設2.シロアリ研修施設

 シロアリ研修施設には、アメリカに存在する様々な建築方法の床下、玄関ポーチなどを見る事が出来るようになっています。

4.5 施設3.一般住宅

 レンガ造りの一般住宅が建設されており、壁の中などが見えるようになっています。

4.6 施設4. テレビスタジオ

 研修センター内にテレビスタジオが用意されており、様々な授業が全世界に向けてネット配信されています。私達が訪問した時は1週間で16の授業を収録する予定が掲示されていました。授業内容は下記になります。

ジャンル 授業内容
害虫 季節の害虫、ノミ、貯穀害虫、ハチ・スズメバチ
ジャンル 授業内容
業務 仕事について、施工計画、薬剤の散布方法、薬剤使用量の計算方法
グラフ作成、シロアリ防除について、薬剤の調合
商業施設 施設の紹介、商業施設の調査方法、調査報告書の作成、コールセンターの顧客対応
一般住宅 調査報告書の作成

 害虫の駆除情報だけでなく、業務の基礎的内容やコールセンターの顧客対応まで幅広い内容の授業が用意されています。これらの授業は毎週配信され、1回の授業が約8,000回視聴されています。また、授業だけでなく、全加盟店が参加出来るオンライン会議も定期的に行われており、様々な地域で新たに発生した害虫についての相談や、ビジネス上の悩みを共有出来るようになっています。

4.7 施設5. 社史博物館

 1901年から100年以上の歴史を持つROLLINS(Orkin)の社史が学べる施設です。

5.まとめ

 研修センターを視察させて頂きながら、ROLLINS(Orkin)の方達と様々なお話しをさせて頂いて感じたのは、彼らは研修センターというハード(施設)が無くても、強い意思と情熱があるので、研修センターが無くても技術レベルを底上げする良い研修を行うだろうと感じました。また、企業が発展する為には、ハード(施設・設備)ではなく、マインド(心・意識・精神)が一番大事だと改めて学ばせて頂きました。特に大事だと思った事をまとめさせて頂きます。

1.当たり前の事を当たり前に実行する事の大事さ

 ペストコントロールという仕事はサービス業であり、技術職です。研修が重要な事は理解しているつもりでしたが、研修のスケールとレベルが日本と全然違いました。多くの情熱と時間を注ぎ、サービスや技術を底上げしているのを肌で感じました。私達は、当たり前の事を当たり前に実行出来ているのでしょうか?部下や新人の教育に情熱と充分な時間を注ぐ事が出来ているのでしょうか?

2.学ぶ事に終わりは無い

 ROLLINS(Orkin)にとって学び続ける事は必須であり、社長や技術責任者など役職を問わず、全員が継続して学び続けています。社長になったから学ばなくて良いなんて事はないのです。

3.現状に満足せず、向上心を持ち続ける事

 Orkin社副社長Tom Luczynski氏に企業理念を聞いた時「私達は世界一大きい会社が目標じゃない。世界一のサービスを提供する会社になりたい。その目標には終わりが無い」と言われました。ROLLINS(Orkin)は6年連続世界No.1のペストコントロール企業です。世界一の会社が現状に満足せず、より良いサービスが出来るよう努力している。その真摯な姿勢に心を打たれました。

6.謝辞

 今回の記事を執筆するにあたり、研修センターを快く見学させて頂いた副社長Tom Luczynski様、最高技術責任者Ron Harrison様、アジア担当Wing Hong Lam様、国際技術担当Frank Meek様及びROLLINS(Orkin)社の皆様へ心から感謝の気持ちと御礼を申し上げたく、謝辞にかえさせて頂きます。

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