トランス脂肪酸

 飼料穀物の先物価格が原油高に連動して世界的に高騰している。関連する小麦、乳肉などとそれらの価格上昇が今までになく大きい。パスタ類の値上げについて行けない国内輸入元も出ている。バターなど乳酪製品では、食品スーパーもその品薄に困惑ぎみだ。
 そこでバターの代替品にと、店頭をにぎわすようになったのがマーガリンやショートニングだ。ところがこれらの食品には、製造時にトランス脂肪酸ができてしまうという課題が未解決だった。トランス脂肪酸は善玉コレステロール(HDL)を減らし、悪玉コレステロール(LDL)を増やして、心臓血管系に悪影響を与える。長期の摂取で心臓疾患が増えるという報告もある。
 シュワルツネッガー・カリフォルニア州知事は「健康と栄養増進はカ州の伝統」と、全米に先駆けて、トランス脂肪酸を含む食品の禁止法案にサインした。州内のレストランでは2010年から、その翌年にはから揚げ類の販売も禁止になる(NYタイムズ、7/26)。
 頭が痛いのはレストランよりむしろドーナッツ、ハンバーガーや鳥から揚げのチェーン店だろう。トランス脂肪酸あってこそ、カリッと仕上がるというのがノウハウだからだ。
pmp296_1 この規則はいずれわが国にも影響するだろうが、彼我の生活習慣を考慮に入れた、独自の科学的な検討も必要だろう。この例に見るように、化学物質の安全性への疑問は、アメリカから発信されることがほとんどだ。話は飛ぶが、米EPAはIPM施工に欠かせない殺虫剤等の安全使用に関する再評価を着々と進めている。このような状況下で、日本のPCOにとって喫緊の課題は、薬剤の用法用量が守られているかを再点検することだろう。(龍)

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