害獣忌避ジェル

幅広い害獣の種類に対して有効なジェルの使用法

ピントアソシエーツ社長 ローレンス J ピント

 ネズミ防除の最新ツールは非毒性の忌避剤かもしれません。米国市場には、ネズミをブロック、または移動ルートを転換させて特定エリアに寄せつけないジェル製品が、少なくとも2種類販売されています。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これまでにもネズミに対しても使用できる害鳥忌避剤がありましたが、ここで紹介する新製品はPMPによるネズミ駆除用に開発されたものです。

 ネズミを殺してしまう代わりに殺傷力のない忌避剤を使用するメリットは何でしょうか? 忌避剤はベイト剤やトラップの代用品ではなく、むしろそれらを使用した防除プログラムをより有効にするためのものと考えてください。ひとつのやり方として、ネズミを通常の移動経路でなくトラップの方に向かわせる「誘導剤」として忌避剤を使用することがあります。梁やスプリンクラーのパイプ、木などを伝って移動できないようにブロックするのです。あるメーカーは、忌避剤に対するストレス反応によりネズミが本来持っている忌新性(見慣れないものに警戒心を抱く本能)によって行動パターンが変わり、より容易にトラップに捕獲されやすくなるとしています。

 もうひとつのやり方としては、忌避剤を特定エリアからネズミを即刻遠ざける「排除剤」として使用する方法があります。これはお客様にとっては即座に効果を実感できます。PMPにとっては有効な防除対策をとるための時間を稼げるというメリットがあります。例えば、電柱の円周に沿って塗布することで、ネズミが電柱を登り、電線を伝って、建物に侵入することを即座に防止できます。同様に、クマネズミが木を伝って侵入することを防ぐこともできます。精密機器、店舗の陳列棚や貨物の積み下ろし場所などを囲むように塗布して接近を防止することも、電気コードがかじられないよう処置することもできます。忌避剤を使用することで、割れ目・裂け目からの侵入も防止できます。また、逆に忌避剤を塗布した場所を乗り超えて外部に移動することもないため、既に建物内部に侵入してしまったネズミに対しては、封じ込めて駆除作業を容易にする効果も期待できます。

 また、忌避用ジェルはモニタリングのツールとしての効果もあります。ネズミがジェルに触れると塗布部分に痕跡が残るからです。

製品について
 害鳥忌避剤メーカーPiGNX社のデトゥア・フォー・ローデンツ(DeTour ForRodents)は鉱物油とシリカの基材にホワイトペッパーが配合されたものです。バードバリア社の一部門であるペストバリア(PestBarrier)のラットアウト・ジェル(Rat-Out Gel)は鉱物油とシリカの基材にガーリックオイルとホワイトペッパーを含有し効果を発揮します。両製品とも食品グレードの原料を使用し、米国環境保護庁(EPA)への届出を必要としない安全性の高い製品です。どちらも283.5g入りの先の尖ったチューブ入り透明ジェルで、隙間を充填するように使用できます。[デトゥアは、トンネルボックス式と7.6リットル入り持ち手付容器、またリフィル式アプリケーターも発売しています。]これらは溶けたり揮発したり垂れたり凍ったりはせず、水と石けんで洗い流せるとされています。リスや一部のより大型のものを含む、全ての害獣に対して有効です。

作用規序
 ホワイトペッパー成分は接触すると末端神経にヒリヒリとした感覚を起こし、刺激と忌避作用を発揮するため、ネズミは塗布エリアを避けるようになります。さらに、ラットアウト・ジェルは、そのニンニク臭を嫌ってネズミが接触するまでもなく近寄らないことしています。両製品ともネズミ他の害獣に対する有害性・有毒性はありません。但し、人間が触った場合には皮膚に赤みが出たり目がしみたりしますのでご注意ください。

使用方法
 ジェル剤は屋内外どちらでも使用できます。塗装していない木やコンクリートのように多孔質の面は、塗布前に表面加工をするかビニルテープを貼ってください。チューブのジェル剤を一般的な充填用アプリケーター(コーキングガン等)にセットし、手袋を必ず装用した上ですき間を充填するようにご使用ください。ブラシで塗布することもできます。デトゥアの使用説明書は、約1.3cm径のビーズ状に出すよう勧めており、大きく出すほど効果があるとしています。ラットアウト・ジェルの使用説明書は少量ずつ使用するよう勧めています。塗布されたジェルはネズミの体に付着したり掃除の際に取れたりしない限り長期間持続します。人間やペットが触れる可能性のある場所には塗布しないでください。除去する際にはパレットナイフが便利です。

 また、特別な用法としては、ジェルをソフトドリンクのプラスチックふた(ファストフードで使用するようなもの)やワックス加工したダンボールに出して、通り道になりそうな場所に設置します。掃除が簡単になり短期間(時間)で移動もしくは除去しなければならない場所への使用に便利です。
 ベイト剤を併用して、ネズミが確実にジェルに接触するよう誘導するのも有効です。ジェルを小さいプラスチックシートや釉薬をかけたタイルやワックス加工したダンボールにブラシで塗ってください。中央にネズミの好む食材を置いてください。もしネズミが食べている物がわかっていれば、それを使って確実にネズミが塗布したジェルを乗り越えていくよう仕向けてください。
 ジェルを目立つ色のビニルテープに直接塗布し、シリコン充填剤で60cm強の間隔で床に固定してください。こうすれば、ジェルがコンクリートや木の内部にしみこむことを防ぐと同時に、関係者が踏んだりしないよう注意喚起できます。

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